火葬炉使用禁止仮申立事件
実質勝訴までの流れ
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2012年7月 野洲市住民による
ペット火葬差し止め訴訟の記者会見が行われました。
2012年6月、当社のペット火葬炉をご利用いただいておりますペット葬儀業様において、近隣住民から火葬炉からの悪臭や煙により健康被害を受けていると、ペット火葬炉の使用禁止の仮申立を裁判所に申請されました。
これまでの流れは以下の通りです。弁護団ホームページにも、記者会見について掲載しておりました。
ここに見弁護団は会見で以下の様に述べております。
2012年7月9日、野洲市内の住民4人が、近隣に開設されたペットの葬儀場運営会社を相手取って、火葬炉の使用の差し止めを求める仮処分を申請しました。
業者は今年の3月頃から葬儀場の工事を始めていたのですが、近隣住民には葬儀場ができるということは一切説明していませんでした。6月の中頃には、煙突が設置され、6月20日の午後3時半ころ、強烈な悪臭が周囲に漂いました。近隣住民が尋ねたところ、この施設は、ペットの葬儀場であり、火葬炉で試し焼きをしていることが分かりました。住民は、業者に対し、なぜ事前に説明しなかったのか尋ねたのですが、「法に触れることはしていない。」「悪臭は発生していない」、「事前に言えば反対しただろう。」と言って開き直る態度を見せています。その後も、数度にわたって、早朝や夕方等の時間に悪臭が流れてきています。近隣住民は、悪臭により、
気分を害したり、喉の痛みや不眠を訴えています。業者は、7月になってから説明会を開催しましたが、焼却をやめてほしいという住民の要望を聞き入れる様子はありません。また、業者は、これまで、ひと月に80~90体の死骸の焼却をしているとのことです。今後、生活の場である住居のそばで昼夜を問わず死骸の焼却が行われれば、安心して生活することができません。そこで、裁判所に火葬炉の使用差し止めを求める仮処分を起こしました。
当社製火葬炉を利用のペット葬儀業様が使用禁止の仮処分申請を受ける
野洲市のペットの火葬場から出る悪臭で喉の痛みや頭痛が起きたり、精神的苦痛を受けたとして、近隣住民4人が市内のペット葬祭業者に火葬炉の使用差し止めを求める仮処分を12日までに大津地裁に申し立てた。
申立書によるとペット葬祭業者は火葬炉を今年6月18日に稼動させた。7月9日までに計5回稼動させ、煙突から刺激臭を発生させている。その影響で近隣住民やその家族は、洗濯物を外に干せなかったり、食欲不振や吐き気の症状が出たほか、経営している飲食店の集客が減る恐れもあると主張している。
ペット葬祭業者は「申立書を読み込んでいないのでコメントできない」としている。
野洲市内に本社を置くペット葬祭会社が6月、火葬炉付きの葬儀場を造ったため、強烈な悪臭で精神的な苦痛を受けているとして、近隣住民4人が火葬炉の使用差し止めを求める仮処分を地裁に申し立てた。
9日付の申立書などによると、同社は3月頃から、空き家をペット葬儀場に改修。近隣住民は事前に工事を知らさせておらず、6月18日に突然、強い悪臭を感じるようになった。その後も断続的に悪臭がし、改善を求めたが、同社は「臭いはしない」「嫌なら施設を買い取ってもらうしかない」などと応じたという。
住民4人は12日、大津市内で記者会見し、「未明にも悪臭がし、喉の痛みや吐き気がする。夏に窓を開けられず、とても我慢できない」と訴えた。
取材に対し、同社の社長は「申立書に目を通しておらず、今は何も話せない」としている。
申立書では、住民側は「動物の死骸の焼却による悪臭や刺激臭にさらされている。平穏に生活する人格権の侵害」と主張し、「本訴判決確定を待っていては悪臭で病状を本格的に発症し、重大な損害を生じる結果となる」と訴えている。
住民四人は十二日に大津市内で会見し、飲食店経営岡田昌三さん(七〇)は「あの臭いに、本当に耐えられない」と説明した。
ペット葬儀会社の社長は「届いた書面にまだ目を通しておらず、内容を把握できていないので何とも答えられない」と話した。
大手鑑定機関に調査を依頼。結果はダイオキシンで基準値の1000分の1以下との結果。
弊社としては、火葬炉の性能測定のため、大手鑑定機関の「帝人エコ・サイエンス」社に依頼し、有害物質であるダイオキシンなどの排出量の測定を実施しました。測定項目は12項目で、ダイオキシンのみならず人体に有害と思われる有毒物質について徹底的な測定を行いました。
測定は客観的な判断ができるようJISあるいは環境庁の基準による分析方法で行っています。
結果は、ダイオキシンで基準値の1000分の1以下、ばいじんは測定可能な範囲より少ないなど、全てのデータで安全性が確認できました。
住民側が使用禁止仮申立ての申請を取り下げ
この検査結果が客観的根拠となり、住民側が使用禁止仮申立ての申請取り下げをしました。
当社としては、火葬炉メーカーとして、そうした臭いや煙が無い事を証明するため、有害物質の排出について多くの測定実績のある大手鑑定機関の帝人エコサイエンス社に依頼し、徹底な測定を行いました。
そして、火葬炉からは健康に影響を及ぼすような物質の排出はないことを科学的に明らかにしたことで、申し立てを行なった近隣住民は申請を取り下げる結果となりました。
ペット葬儀業様からは、当社の誠意ある対応にご満足頂き、感謝の意を頂いています。
当社としても、メーカーの責任が果たせ安心しましたが、今後もお客様が安心してご利用いただける様、より品質・性能にこだわりたいと思います。以下、新聞記事になります。
野洲市内のペット葬祭会社が造った火葬炉付きの葬儀場が周囲に悪臭を放っているなどとして、住民らが火葬炉の使用差し止めを地裁にもとめた仮処分申請で、住民らは申請を取り下げた。取り下げは2021年12月25日付。
葬祭会社の説明などによると、会社側が、専門業者に臭気について鑑定を依頼したところ、国が定めた基準を上回る数値は確認されなかったという。
住民側の代理人は「諸般の事情を勘案し、取り下げを決めた」と話している。
本件について弁護士の所見
弁護士の所見文
1 同仮処分命令は、本年7月9比に申し立てられたところ、申立人側は、 (1)本年6月18日から7月3日までの当社の滋賀県野洲市の斎場における火葬炉の稼動にあたり、「通常の焼却では発生しがたい人に嫌悪感を抱かせる臭気が発生した」「煙突から人体を焼却した時に発生するような臭気が発生」「プラスチックを焼却したような刺激臭が発生した」などと申立てられ、(2)また、「火葬炉を稼動すると、相当の高温が発生し、熱風となって、周囲に熱気が及ぶ、隣接する家屋の部屋の温度が上昇し、冷房機によっても快適な温度にならない・この室内外の温度の状況については測定でき次第、資料として提出予定」とされる、など申立てられていました。
2(1)しかし、当社は、上記斎場を建設し、ペット火葬業を開業するに当たっては、決して周辺に有害物質を排出しないこと、周辺の住民の皆様に健康被害を生じさせることがないようにすることを第一に考えて、ペット火葬炉の稼動による煙や有害物質の排出がないようにすべく、現在当社・上記斎場で使用する火葬炉についきましては、独自に火葬炉の開発・製作に着手し、火葬炉(火葬車)からの排煙、有害物質の排出及び人に不快感を生じさせる悪臭がしない新規の「KHY1300型」火葬炉を開発・製造したものであります。
(2)そして、今回の仮処分の申立てを契機として、同火葬炉につきまして、当社は、あらためて有害物質の等の排出がないかを、帝人エコ・サイエンス株式会社に鑑定の依頼をし、その結果、下記のような鑑定結果を得たものです。「動物路煙道の排ガスダイオキシン類及び臭気指数調査(平成24年8月23日測定)」に基づく結果
1.ダイオキシン類濃度 測定値0.00040ngーTEQ/㎡N
(ダイオキシン類対策特別措置法に基づく基準値5ngーTEQ/㎡N)
2.ばいじん濃度測定値0.005g/㎡N未満
(大気汚染防止法の基準値に基づく0.15g/㎡N)
3.臭気指数測定値21
(臭気指数規制基準値30.39)
以上の次第で、当社の上記斎場における火葬炉からは、客観的な測定結果からも、基準値を大きく下回るダイオキシン、ばいじんの排出しか測定されず、また、臭気につきましても、基準値を大きく下回るもので、人に不快なにおいは生じさせていないということでした。また、火葬炉からの排煙につきましては、申立人の申し立て内容にも目に見えるような煙の排出がされているとの主張はないことから明らかなように、これがないといえるところです。
3 本件仮処分は、付近住民が、当社の上記斎場から有害物質が排出され、また、人に不快感を生じさせる悪臭が発生し、これにより住民の方に健康被害が生じたことを理由として申し立てられたものです。しかしながら、申立人においては、主観的なものとして、上記1の(1)、(2)に記載のようなことを訴えておりましたが、これを裏付ける資料は、本件仮処分の心理の過程でも、これを提出するとして期日を延ばしながらも、結局、何ら客観的な資料を提出しなかったものであります。他方、当社の方は、上記2のように、有害物質等の鑑定の専門会社に調査を依頼し、その結果、当社の斎場の火葬炉(火葬車)からは、有害物質等が排出されていないこと及び人に不快感を生じさせる悪臭が発生しないことを、客観的な資料として提出したものであります。そうすると、冒頭で述べたように、今般、同仮処分の申し立てが取り下げられた詳細はよくわからないところでありますが、察するに、申立人の側で、上記1の(1)、(2)記載の事項についてこれを裏付ける客観的な資料の提出ができない一方、当社の提出した上記鑑定結果から、もはや本件仮処分において、申立人の申立てが認容される見込みが全くないことを察知した申立人側が、本件仮処分命令申立の却下という自己に不利な判断を裁判所にされるのであれば、その前に申立てを取り下げようとして考えて、本申立てを取り下げたものといわざるを得ないと考えられます。
当社としましては、上記斎場において一切有害物質の排出等はないという自信をもって本仮処分に臨んでおり、その審理の過程においても、上記のような信頼のおける客観的な資料を提出して、これを裏付けたものであります。そして、仮処分まで起こされた当社としては、この際、裁判所の明確なご判断をいただきたいと考えていたところ、冒頭にも述べましたように、これが、通常の民事訴訟であれば、一旦、相手方である当社が何らかの弁論を行えば、その取下げには相手方である当社の同意が必要(民事訴訟法261法2項・この趣旨は、一旦相手方を訴訟に巻き込んだ以上、相手方においても、裁判で何らかの裁判所の判断をいただく機会を与えるべきというものです)ですが、仮処分においては、その取下げについて、相手方の同意は不要という制度になっており、これを利用しての申立人の取下げということであり、申立人から本仮処分のような申立てを起こされ、裁判所の判断をいただこうとしていた当社としては、釈然としないものがあります。しかし、本仮処分の審理の過程に徹すれば、その中で当社の上記斎場から有害物質の排出等が一切ないということが専門の鑑定機関によって確認され、これを本仮処分の申立人が認識・確認した上での、上記理由による申立人の本仮処分の取下げということが強く推認されるところであり、本仮処分の取下げは、当社の「実質的勝訴」ということで考えれば、本仮処分も意味があったと考えています。以上の次第で、本仮処分の申立人からの取下げの詳細が分かりましたなら、また、何らかの形でお伝えする予定です。