[選び方その1] 移動式火葬炉の築炉作業で重要なこと
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築炉作業の重要性について
移動式火葬炉の築炉作業をする上で、上記は重要なポイントなります。
これらのことを、下記にて詳しくご説明いたします。
炉内のセラミックファイバーの性能と働きについて
移動ペット火葬炉については、その内部でご家族様から託されました大切なペットのご遺体を高温で火葬するという作業を行うことから、炉内部に耐火性のセラミックファイバー(綿)を貼ることになりますが、このセラミックファイバーの性能とその貼り方は、ペット火葬炉の耐久性ということからしても、また、ペットを火葬すること自体においても極めて重要なものと言えます。
耐火温度について
セラミックファイバーは、製品によってその耐火温度が800度~1500度のものがあります。この耐火温度については1500度に近いもの、すなわち耐火温度の高いセラミックファイバーを選ぶことが重要となります。
ペット火葬炉の耐久性に問題が生じますし、また、ペットを火葬した場合に生じる事態にも対処ができなくなります。
セラミックファイバーの性能と生じる問題について
セラミックファイバーには熱を加えると膨張と収縮を繰り返すという性質がありますが、耐火温度の低いセラミックファイバーを使用してペットを火葬したときに炉内の温度がその耐火温度を超えた場合には、そのセラミックファイバーの性能を超える温度での使用となっているので、セラミックファイバーが適切な膨張と収縮をして元に戻ることはなく、収縮したままの状態となってしまう可能性があります。
こうなれば、そのセラミックファイバーは、傷んだ状態となって本来の性能・機能を発揮することができなくなります。当然のことながら、そうなれば、ペットを火葬する場合に生じる炉内の高温から火葬炉を守るというセラミックファイバーの役割が果せなくなり火葬炉本体にダメージが及んでしまい火葬炉の耐久性(使用可能年数)が低下します。
セラミックファイバーの耐火温度内でペットの火葬を試みたとしても・・・
例えば、1000度の耐火温度のセラミックファイバーを用いてペット火葬炉を製造したのであれば、火葬の設定温度を1000度以内にしてペットの火葬を指示しているところもあるようです。
しかし、ペットの火葬については、大型犬など脂肪分の多いペットを火葬した場合には、ペット本体に火が回りその脂肪分が燃焼することにより思いもよらない高温となることがあります。つまり、火葬するペットの種類や体格によっては、火葬の設定温度を低くしてペット火葬炉を稼働させても、炉内部が設定温度以上の高温となることがあります。
火葬しているペットに水をかけて温度低下をさせるのは問題外
炉内の温度が上昇した時に、火葬しているペットに水をかけて温度を低下させればよいという考え方も出てくるかもしれません。しかし、脂分の多いペットの脂分が燃焼している場合に水をかければむしろ逆効果と言えます。
これは、水と油のたとえのごとく、天ぷら油などが高温となり火を放った場合には水をかければその水分が水蒸気となって爆発的に拡散して余計に危険であると言われていること(家屋の火災の場合にでも油が燃えている場合の消防は水ではなく化学剤を使って消化をする場合があります)からもわかることで、脂分が多いペットを火葬してその脂分が燃えていることによって火葬炉内が高温となった場合に水をかけることにより多くの酸素が炉内に供給されてより燃焼が加速されるのです。
また、そもそもご家族様からお預かりした大切なペットを火葬している際にペット火葬炉が高温となったからといって大切なペットのご遺体に水をかけるということ自体が、ペットの火葬方法として適切とは言い難いです。ペット火葬を行う場合にはこのような事態が生じることも想定してそれに対処できるだけの火葬炉を用意してペット火葬を行うべきと言えます。
上述の通り、ペット火葬炉につきましては、
- 同火葬炉の性能を十分に発揮しその耐久性も十全なものとするという点
- ご家族様から依頼をされたペットの火葬を適切に行うという点
を考慮し、
火葬炉の耐火温度・耐熱性が高いもの、そのためには、まず、その耐火・耐熱のために重要な役割を担う炉内部に貼られるセラミックファイバーについて耐火温度の高いものを選ぶ必要があります。
弊社においては、耐火温度が1500度のセラミックファイバーを用いて移動式ペット火葬炉(SA-700型と新型のSA-800型)を製造しております。
耐火セメント「キャスタブル」を使用している炉について
火葬炉の内部を耐火性のものとするためにセラミックファイバーではなくキャスタブル(耐火セメント)を用いることも考えられ、実際このキャスタブルを用いて移動式のペット火葬炉を製造している業者さんもおられるようです。
しかし、火葬炉内部にキャスタブルを設置した場合には、熱が蓄積されやすく、その分火葬車内部が高温となり車両の運転時や火葬炉の稼働時がかなり不快なものとなりますし、火葬炉と火葬車が高温となることは、火葬炉と車両に大きなダメージとなります。
加えて、キャスタブルはその重量が重いことからその点からも車両に負担となります。このような点から、移動式火葬炉内にキャスタブルを設置することはお勧めできないものと考えています。
セラミックファイバーの貼付作業について
火葬炉内に貼付いたしますセラミックファイバーにつきましては、耐火温度などの性能面のみならず、その貼付方法も重要な要素となってきます。いくら耐火温度が高く性能の良いセラミックファイバーであってもそれを火葬炉内に適切に貼られていなければ本来の性能が発揮できないことは言うまでもありません。
そして、この火葬炉内にセラミックファイバーを貼ること、すなわち、築炉作業については、築炉技能士という国家資格がありこのような資格を有する者がセラミックファイバーの貼付・築炉作業をしてこそペット火葬炉本来の性能を発揮させられます。
ただ、この点は、残念ながらペット火葬炉業界内では、築炉技能士の資格を持たない、いわば築炉作業については素人と思われる方が同作業を担っているのが実情と言えます。しかし、弊社におきましては、ペット火葬炉内のセラミックファイバーの貼付・築炉作業については、全て築炉技能士の資格を持った者が行っています。
そして、この築炉技能士の資格につきましても、実務経験2年以上の2級の資格を有する者と、実務経験7年以上若しくは2級の合格後2年以上の実務経験を有する1級の資格を有する者がいますが、当社では1級の資格を有する者のみが築炉作業を行っております。