三重県のとある場所でお寺をしているものです。
動物を物として扱う時代はもはや過去であり、人と同じ様に供養を求める檀信徒が後を絶ちません。
しかしながら、いまだ法制度上はその望む声に追い付いておらず、公営の火葬場では、動物に関しては合同火葬のみしか受け付けない所も多いです。そういった理由から、当寺院で個別火葬に対応した火葬炉の導入を考えました。
火葬炉火葬車を導入するにあたって、もっとも重要視するところは、煙と臭いといった環境面です。
「あのお寺から何やら黒煙がモクモクと出て、臭いもすごい。」などと言われてしまっては、安らかな供養とは言えません。
さっそくインターネットやカタログなどから、火葬炉・火葬車販売を行っている企業の目星をつけようと調べましたが、そこには決まって、「無煙・無臭」 と謳っており、これではだめだと実際に見に行くことになり、地元の三重の企業から、奈良、和歌山、埼玉、東京と足を運びました。
しかしながら、「肥え気味の大型犬でも煙などは出ないのか?」という質問には決まって、
・煙が出始めたら火を止めて様子をみる。
・吸気口や覗き窓を目いっぱいあける。
・覗き窓から水をかける。
などなど、やはり「無煙・無臭」には条件があるところがほとんどでした。
三重県の企業の中には、実際の火葬を見せてくれるところもありましたが、10kgもない遺体の火葬では「無煙・無臭」で当たり前なのかなという感想です。
もはや疑いの目でしか見れなかったのですが、京滋エンジニアリングさんの固定式火葬炉の説明に、「他社様でも出ないと言っていますが、大きなペットちゃんを火葬した場合、煙等が発生します。」という記述が目にとまり、確かにそうだと思いながらも半信半疑で連絡を取ることに。
「実際に火葬を見ることはできるか?出来れば肥え気味の大型犬をみたい。」
断られるだろうなと思いながらも、一か八かで聞いてみると、それはもう自身あり気にあっさりと了承して頂きました。
滋賀まで行き、横たわる大型犬に供養をすませ、小奇麗な固定式火葬炉へ納め、点火スイッチを入れます。その後、疑うように煙突上部をずっと見ていましたが、最初から最後までまったく煙は出ず、臭いもありません。特に水をかけたり、火を落としたりといったこともなく、火葬時間も短く、すぐに終わりました。心からすごいと思いましたが、さすがにまだ信じられず、なにか仕掛けがしてあるのではないかとこの時はまだ疑っていました。
数週間後、今度は大型犬どころか超大型犬に分類されるであろう、バーニーズマウンテンドッグ(50kg)の火葬を行うということを聞き、今だ疑いを持ったまま火葬の様子を見学させていただきました。同じように煙突の前にずっといましたが、特に余計な操作をすることなく、ひたすらに無煙、無臭です。本当の意味で「無煙・無臭」はこれだと確信しました。(火葬時間1時間)
これを受けて、京滋エンジニアリングさんと契約するに至りました。何度か見学し、実際に購入したのは移動式火葬炉でしたが、固定式火葬炉の信頼が大きな理由です。
供養希望者が増え次第、固定式火葬炉を導入しようかと考えております。
ぜひ、火葬炉の導入を考えている方は、疑いの目で見学してみてください。いい意味で裏切られることになるかと思います。
高西寺 住職